井上店長が26年前、新婚旅行でインドのカルカッタへ。マザーテレサがつくった施設で二週間ボランティアをするため旅立ったお話の記事がお店で見つかりました。深く心に響いた店長ときょうこさんの旅のお話…ぜひ皆さんにも伝えたいと思い、シェアしたいと思います。
〜インド心の旅〜
後編
「死を持つ人の家」は、マザーテレサに関心のある人
なら知らないはずはないであろう有名な施設で私も
ボランティア活動に参加できたことが印象深い。
その名のとおり、瀕死の路上生活者を収容する施設で、霊安室もあり正に死と隣り合わせだ。
患者達は重い飢えと病気に冒され、ほとんどたきりだ。赤、結核、破傷風、マラリアなどの病原菌が蔓延しているこの施設で、自分にも感染しないだろうかと不安で
息をするのも心配になったが、骨と皮だけで苦しんでいる人々を目の当たりにすると、自然と身体が動いていた。
ベッドの消毒は1日2回、そして入浴・排泄の世話、
食事の準備と世話と食器洗い、洗濯。
忙しく動き回るほかのボランティアを見習い、ともかく実践しながら仕事を覚えていく。
痩せ細っているとはいえ、寝たきりの人を起こしたり、移動させるのはかなり重たい。
洗濯機などもないので、約百人の洗濯物は全て手洗いだ、昼食の世話をして午前の仕事は終わりになるが、
身体はもうヘトヘトになってしまう。
しかし、患者の苦しみに比べれば何でもないことかも
知れない。
今日もまた、二人の方が亡くなっていった。
「人はこの世に生まれてくる時、必ず何か役割を持って生まれてくる」と聞いたことがある。
では、この人達は?働けず、介護無しでは生きていけないこの人達の役割は何なのだろうか?
心の奥底から湧き上がる感動と共にその答えに気付いたのは活動終了日だった。
多くの学びと多くの気付きを私達に与えること。
それが彼等の役割ではないのか。
今回の体験で、人が人の生命に仕えた時に自分の生命が最も輝くことを、肌で感じることができた。
同時にボランティアに対する意識も、こちらが与えるだけの一方通行という意識から、与えることにより、それ以上のかけがえのないもの、いわば、生きる喜びをいただいているという、感謝の気持ちを持つようになった。
10日間の日程を終え、我々は施設で働く多くの人、
そしてボランティアで知り合った仲間達と涙の別れをしてインドを後にした。
今回の旅は本当に私にとって学ぶことが多かった。
世界では1日5万人近い人々が餓死しているとの事実を目の当たりにし、悲しみや怒りを感じることも多かった。
これらの事実を、一人でも多くの人に伝え、皆が仲良く助け合って、平和で幸せに暮らせる社会が一日も早く
築けるよう、ボランティア活動を通じて目指していきたい。